父の電話から
「ばあちゃんが年内に美容院に行きたいって言うから連れてきた。今、待ってるとこ。」 父からそんな電話がありました。
いくつになってもキレイにしていたい
なんかいいなと思いました。
(こっちの、ばあちゃんは父のお母さんです)
*
いのちのコンサートでよく話す祖父と祖母のこと。
(こっちの祖父と祖母は、母の両親です)
祖父が入院すると聞いて、電話をかけると
「じいちゃんは病院だから大丈夫。ばあちゃんが寂しいから、ばあちゃんに電話してな」と祖父は言いました。
少し離れた病院で、祖母は足や心臓が悪かったので、頻繁にはお見舞いに行けず。
お見舞いに行く時は、娘である私の母にお願いをして、美容院に行って、お化粧をしていたそうです。
祖父のお葬式の日、髪が立ち上がってるぐらいのすごい寝癖とすっぴんで祖母は
「お葬式、行きたくない。じいちゃんも来んでいいって言ってるわあ」
と言っていました。祖母を大切にしていた祖父が、もしそこにいたら、きっとそう言っていたんだと思います。
最後の最後まで、妻である祖母を愛し続けた祖父だから。
「あっこ、じいちゃんの詩吟をお葬式で流したい」祖母は私にカセットを渡してくれました。
親戚のみんなに反対されたけど、祖母の気持ち以上に大切なものはその時ないと思ったので、私はこっそりお葬式の係の人にそのカセットを渡して、祖父の詩吟を会場で流してもらいました。懐かしい声。祖母だけじゃなく、みんな結局は「あの詩吟が良かった」と喜んでくれたですけどね。
誰かのために、キレイでいたい。
大切な人のためなら、湧いてくる力。
あとで何を言われてもいい、悪者になってもいい、そんな覚悟。
父の電話から、いろいろと思いを巡らしています。